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嫌われ狸の一生

第11章 妹 ~愛~

心中未遂事件の時、小2のボクはまだ赤ちゃんの妹を連れて逃げて二人で生き延びようとした。

年の離れた妹は可愛かった。
だから、妹とはケンカもしたけど、可愛がったつもりだ。いつか別れがくるなんて夢にも思わずに。

妹が幼稚園の頃、ボクは小4だったかな・・
6年生に乱暴者の男がいた。
ケンカを好み、人を殴ったり、物を取り上げたり。
ジャイアンみたいなヤツだ。

コイツの家はヤクザの親分みたいなカンジで、ダンプカーをいっぱい抱える土木会社の社長だ。
親が大物のわりにはやってることは小物だよな。

ある時、妹が公園で遊んでいると、コイツがせっかく作った砂の山を踏み潰し、妹からブランコを奪ったりしてイジメた。

当然妹は大泣き。
性的ないたずらはされなかったから安心してね。
もしそんなことされてたらボクはコイツを殺したよ。マジで・・

泣いている妹のところへ駆けつけたボクは怒ってコイツに戦いを挑んだ。

コイツは巨体で、バカ力。
ボクは羽交い締めにされた。
男に抱きつかれてイヤだなんて言ってる場合じゃない。苦しい・・あばらや背骨がギシギシ言ってる。

苦しい中でボクは考えた。
コイツは巨体な分、ノロマだ。なら勝てる。
足をバタバタさせたら、膝が股間に当たった。
狙いどおり。モロには入らなかったがダメージはあった。
ケンカ必勝法、男は股間を潰せ。

解放されたボクは、お粗末くんとかふにゃちん野郎とか挑発して逃げた。逆上したヤツは追ってくる。
ようし、来い来いとボクは思い、素早く滑り台にかけ上がると、てっぺんから飛び降りてヤツに必殺のキックをくらわせた。

急降下ライダーキック。だが、やり過ぎた。
腕にモロに急降下キックが決まって、ヤツは腕を骨折した。

ヤツは泣きながら逃げた。

これはヤバいことになった。
ヤツはあのヤクザみたいな父親に言いつけるだろう。

妹は心配そうにしていたが、ボクはきっちり話をつけてくるから兄ちゃんに任せろと言ってヤツの家に向かった。

怖かったが、ボクの頭には憧れの男たちが浮かんでいた。どんなピンチにもポーカーフェイス、笑顔さえ浮かべて立ち向かう仮面ライダーの姿が・・

何台かのダンプカーが帰ってきている。
ダンプカーとかトラックって迫力あるね。
しかも人相の悪い若い衆がたむろしている。

コイツが坊っちゃんをやりやがったのかと若い衆が威圧してくる。

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