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嫌われ狸の一生

第13章 微笑みの爆弾

会議で、窓を開けてここから飛び降りろと言われたこともある。
あまり怒鳴られ続けて立ち上がって窓を開けると、さすがに数人に取り押さえられた。
土下座でもすると思えばこのバカヤロ~、テメェみたいなヤツでも死ねば葬式だいろんな対応だと煩わしいんだよ。
テメェみたいなゴミクズがこれ以上人様に迷惑かけんじゃねぇよ、このバカヤロ~と無茶苦茶怒鳴られた。

車で営業に出る時に少しでも運転が気に入らなかったり、上司の気に入らない道を通っただけでバカみたいに怒鳴られ、後は目的地に着くまで説教。
よく事故を起こさなかったものだ。
運転中に怒鳴ったり説教したりして、一緒に乗ってる自分たちも危険な状況だと分からないのかと友達と飲んだ時にグチり合ったこともある。

こんなにヒドイ目に遭ってもボクは仕事場で泣いたことはない。
一人で飲みに行ったり、部屋飲みをしながら毎晩泣いていたが・・・

世の中に出回っている多くの商品とか企画、イベント、いずれも血と汗と涙の上に成り立っているんだと思うと、多少くだらない(失礼)商品でも敬意を払って見るようになった。

よく給料はガマン代金だと言われることがあると本当にそう思う。

会社の人の前で泣いたというと、ボクが尊敬する上司とふたりで泣きながら酒を飲んだことぐらいか。

けっこう大事な企画があって、その企画書を三連休を潰して作り上げ、上司にも手直ししてもらってさらに上に提出した。

上は上司に企画書を投げつけて、けちょんけちょんに叱責した。
こんなくだらん企画を上にあげるとはオレをバカにしてるのか、それとも無能か言え、答えろと。

上司は深々と頭を下げて私が無能でございますと言った。
もちろんボクも怒鳴られまくり、ふたりでズタボロにされた。

その夜上司と飲みに行ったのだ。
上司は泣きながらすまなかったと言った。
ボクの能力がないために尊敬する上司をこんな目に遭わせてしまったと思うとボクも涙が止まらなかった。

就職してから毎晩酒を飲んでいるが(笑)この時の酒ほど重く苦いものはなかった。

でも、そんな鬼のような厳しい人たちに自分の仕事を認めてもらえる時はやはり嬉しいし、厳しい人は教えるのも大好きなので、奢ってもらったりして酒を飲みながら、武勇伝や自慢話が大半だが(笑)貴重な話もいただいた。

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