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嫌われ狸の一生

第32章 絶望はとまらない

両親が頭を下げて頼むので、その日は妻と子供は実家に泊まり、ボクは一人で説明謝罪の席にいた。

うつ病人にここまで苦労をかけるとは・・

妻の実家で用立ててくれたカネで返済をして、ボクは謝罪した。そして、家庭内別居で妻は大切なことは何ひとつ言わないので班長になっていることを始めて知ったこと、うつ病であることを告白。

とても班長なんてできる状況にないことを分かってもらって別の人に変わってもらった。

ボクは妻を極刑にしたいから、あの泥棒をみんなで訴えようと言った。

みんなは世にも恐ろしいものを見るように、おカネは無事に戻ったんだからとか、家庭内別居とはいえ家族をそこまでとか言った。

明治時代ぐらいまではスリや窃盗は死罪だったのに、甘い世の中になったもんだと言うボクの顔はかなり恐かったのだろう、いっちゃってたんだな。

みんなは震えていた。

ボクは元々鬼のような変人と恐れられていたので、町の人はますますボクから遠退いた。
この方が余分なことが降りかからなくていい。

ちなみに、なんでボクが鬼と恐れられるかと言うと、ウチの敷地に無断駐車したヤツを捕まえて、ここはオレの敷地だからオレがルールだ、駐車料金は1分1万円だとすごんで土下座をさせたり、ウチの前でタバコのポイ捨てをしたヤツを捕まえて、一歩間違えば火事だ、誰の家を燃やしやがったと問答無用で警察につきだしたことが有名になっているのだ。

宗教の勧誘を、そんなオレ様のチンカスほどの価値もないもんをありがたがるなバカ、神と崇めるのはオレ様だけだ、オレを崇めよ、お布施を持ってこいと言って撃退したこともある。

宗教の人たちは世にも恐ろしいものを見たってカンジで蒼くなっていた。
それから二度と宗教とかがくることはない。

自分でいうのもなんだが、こんな鬼のような人もうつ病とかになっては情けないったらないね。

いつも何かに傷ついている、傷だらけの人生だよ。

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