
どうか、
第2章 高木の決心
「…ごめん。僕は___」
「僕は、なんだよ?まだ押し付けるのか?」
だめだ、とまれ、そんな思いとは裏腹に言葉は音となり空気を駆け巡って桜太郎に届いていく。
「好きだ、わかってほしい、だから無理やり襲うのか?相手の気持ちも考えずに、男の俺を、男のお前が、犯したんだぞ」
…だめだ。
一瞬の後悔は遅刻してきたようで、時既に遅しのようだった。桜太郎は傷ついたように目を伏せ、もう一度謝罪の言葉を呟いた。
「…ごめん」
「……謝るんだったら、謝るんだったら!
はじめからこんなことするなよ!
お前は俺を無理やり…俺は…苦しかったのに。
もう…もう俺、桜太郎とどうやって一緒にいればいいんだ?」
桜太郎は、いつか今日の日のことを思い出すだろう。
そしてそれは俺も同じ。いつまでもいつまでも繰り返して、初めての屈辱とその生々しい感覚、今日出来上がった桜太郎との歪な関係も思い出し続けるのだ。
そして、桜太郎の本当の姿も。
