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どうか、

第1章 明野の加害。

小綺麗にまとめられた家具と日用品が高木の几帳面さを表していたし、そんな中でもいつだって異彩を放っていたのは本棚である。


壁一面に置かれた本棚には参考書、問題集、ドリル、勉学に関するエッセイや実用書が大量に置かれている。高木が言うには小学生の頃から集めていたらしい。



「俺は昔から勉強くらいしかできないし」いつかにそういって高木は笑っていた。








「大したもてなしはできないけど…」


「気にしないよ」

「あはは、いつものことか。んじゃ、テキトーに座っといてくれ」




お言葉に甘えてソファに腰掛ける。目の前にある本棚には『馬鹿でもわかる公式集』が5シリーズほど並んでいた。




「知ってるか?カバって赤い汗をかくらしい」コーヒーを持ってきた高木がそういってきた。




「…それって馬鹿でもわかる公式集にのってる?」


「探してみたらどうだ?おすすめだぞ。その本はシンプルでいい」





高木は僕の横に腰掛けていて、コーヒーをすすっていた。

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