カラダも、ココロも。
第3章 新人社長
―――ズルッ!
「うわっ!!」
誰かの脚に躓き、少しよろけた。
「もう、足場に気を付けないと」
店長が私の上半身を抱えてくれていた。
私が転けかけたのは半分店長のせいなのだけれど…。
「す、すみません…」
店長が優しく笑い、そっと元の位置に立たせてくれた。
店長のお陰で、私はだいぶ前にこられていた。
「ほら、あそこに立ってる人…あれが社長」
私の背の高さまで腰をかがめた店長の指差す先。
腰くらいまでの高さのしきりの向こうに、2人の男性が立っている。
左にいる50代後半の男性…あの人が社長だそうだ。
なるほど、エレベーターを使った事に怒っていたのは、社長が来るからだったのだ。
だが、その隣に並んでいる男は誰だろう?
すらりと高い身長に、金の髪。
外人かと思ったが、肌や顔つきは間違いなく日本人のもの。
次に、店長の指がその男を指す。
「そしてあの男が…ーー―」