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10分屋【ARS・N】

第11章 先に生まれただけの僕たち

それから数ヶ月後、また鳴海校長が会いたいと言ってた来た。

二宮「なんだよ、京明館のポスターなら出ないよ。」

俺は鳴海校長にコーヒーを出した。

鳴海「いえ、もうその必要はなくなりました。」

二宮「どういうこと?」

鳴海校長は咳払いをして話し出した。

鳴海「綾野先生のあのブログが、削除する前に広まってしまって…。オープンキャンパスに応募が殺到しています。」

俺はコーヒーを吹き出した。

二宮「なんだよ、俺、結局まんまとのせられたって訳じゃん!」

鳴海「名前や写真を出していないとはいえ、無断で二宮さんに関する内容を掲載したことは誠に申し訳ありませんでした。」

鳴海校長は立ち上がって深々と頭を下げた。

鳴海「ただ、せっかくオープンキャンパスに来てくれた生徒さんには、京明館の魅力を全力で伝えなければならない。それは二宮さんに甘えることはできない、われわれ教員の使命です。」

二宮「はあ…。」

鳴海「瓢箪から駒で、こういうチャンスをいただいたからには、これを無駄にすることなく受験者数を増やし、必ず経営難から脱却してみせます。」

鳴海校長は頰を赤くして熱弁をふるった。

二宮「まあ、頑張って。コーヒー、飲みなよ。」

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