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10分屋【ARS・N】

第6章 夫婦

「おはよ。」

雑誌の取材でスタジオに入ると、翔さんが先に来ていた。

相変わらず、新聞とビジネス誌を積み上げて読み込んでいる。

「おはよう、ニノ。」

翔さんは顔を上げて挨拶し、またビジネス誌に目線を戻した。

「今日はまた、特別多いね。」

俺は積み上げられたビジネス誌を取り上げてパラパラめくった。

経済や政治の情勢なんかの記事ばかりで、俺にはさっぱり理解できなかった。

パラパラとめくったページに、見覚えのある顔を見つけた。

「ウエダ…!」

新進気鋭の実業家として、スーツに身を包んだウエダが、隣にサエコを従えて満面の笑みで写っていた。

「翔さん、この人って…?」

翔さんは、俺が手にした雑誌を覗き込んだ。

「あぁ、ウエダさんだね。今すごく業績を伸ばしているIT企業の社長だよ。」

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