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Face or Body

第29章 ほの暗く猟奇な世界

――なんだか、爽やかな笑顔だったなぁ…

カオルは手渡された名刺を眺めてから
でも
あの戸田ってひと
まだ20代前半だったよなぁ…

すごいエネルギーだよなぁ…
自分で
雑誌を創刊しようだなんて…。

なんか
応援してあげたくなっちゃったな…
私はなにもできないけど…
あ…
そう思うことが
私がおばさんになりつつある証拠かな…?

カオルの脳裡に
可愛らしい若者の笑顔が
印象に残った。――――――


『よし、今日も本部には収穫なかったみたいだ。みんな、当直のサトル以外は、いつ潜入指令がでても対応できるように準備して帰ってくれ。』
各務はそうメンバーに伝えた。

ヒカルは
『サトピ。ごくろうさま!!』と言い
駐車場へと向かった。
カオルもヒカルと一緒に
帰途につきエレベータに乗り込んだ。

『ねえねえ… ヒカルさん今日、ジャニーズ系の若くて可愛らしい男のひとから取材されたの?』
とヒカル。
そのヒカルのキャピキャピさは
結婚している女性には
見えないくらい可愛い…。

カオルは
『うん。アウトドアとバイク関連のね…。でも、取材じゃなくて、取材依頼だよ…。断っちゃったけどね。』と答えた。

ヒカルは
『え―――――――――――っ?何ですか?もったいないよ~!! カオルさんのバイクテクとかスゴいし、アウトドアのレジャーも大好きっていっていたじゃないすか~?』

『それに… 可愛い男の子だったんでしょ?』と付け加えた。

カオルは
『いいのいいの!!私…ほら…ヒカルちゃんやサヤカさんと違い、美人じゃないから。』
とはにかみながら答えた。

―――私は脇役だもん…
カオルはその言葉を飲み込んだ。

二人をのせたエレベータが
駐車場のあるフロアにつき
扉が開いた。

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