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Face or Body

第29章 ほの暗く猟奇な世界

現役の県警本部の
女性警察官が
見るも無惨な姿で
猟奇殺人事件の被害者になったことは
マスコミの格好の話題となり
県警本部前は
大勢のマスコミが殺到して
パニック状態であった…。

唯一の悲しい
そして
救いようのないくらいの救いは
カオルの唯一の肉親である
母親がすでに
自分の娘を娘としては認識できないまでに
病状が進行していることぐらいだった…。

機動捜査係は
過去のカオルの経歴からの
怨恨の可能性を追うが
カオルのかつての所属での働きは
完璧であり
かつ彼女が高速機動隊に所属していた頃に
検挙された暴走族の大半が
薫るの説得と熱意に
更正の道を歩んでいることなどを
知ることになった…。

『あんな思いやりのある、いい警官なんて、俺らは出会ったことなかったっす!!刑事さん、犯人絶対に捕まえてくれ!!』

ある元暴走族リーダーが
聞き込みに訪れた
ヒカルとサトルに涙ながらに
訴えてきた…。

またカオルが交番勤務時代に
防犯上心配して
一人暮らしの高齢者宅を
毎晩声かけして回っていたことを
やはり
聞き込みにまわっていた
サヤカとツトムは聞いた。


県警本部の屋上…
ヒカルとサヤカは
暮れなずむ横浜の町を眺め…

『カオルもずっと… 自分の正義を貫いて仕事してたんだ…。』
サヤカが呟く

『許せない!!なんで?なんでカオルちゃんか…あんなひどくてむごい目に…』
ヒカルがポロポロと涙を流して
声を絞り出す…。

『私たちは潜入指令だけを待たない!!』
ヒカルとサヤカは
ほぼ同時に声をあげた。

ヒカルとサカヤの頭には
ほぼ同時に
カオルにグロスをつけさせるほどに
女性を意識させた
謎の男の存在が浮かんでいた。
ふたりは
そこから洗い直すことを誓った。

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