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Face or Body

第38章 女たちの戦い前夜

サクラコは
潜入捜査前夜…
その身体を鏡に映していた。

――この身体で
お金をとれるのかしら…?

もう何年も
セックスどころか
男性と肌を合わせたことすらない…。

――おしよせる緊張と不安…。

任務とはいえ
なんの恋愛感情すらない
いや…
むしろ嫌悪感すら抱くような
溜めに溜まった性欲を
女の身体に吐き出すためだけに
女を抱きに来るような男性から
捜査情報を得るためだけに
肉体関係をもつ捜査…

サヤカさんや
ヒカルは
いつもこんな精神的にも
肉体的にも辛すぎる仕事を
してるんだ…。

サクラコは
明日以降
自分がおこなう任務が
警察官としての本来の仕事から
かけ離れすぎていることを
改めて実感していた。

――ピンポン!!

サクラコのマンションのチャイムが鳴った。

そこには
久保寺が立っていた。

――ドアを開けるサクラコ

久保寺は今回は
捜査の指揮を直接は執らない

しかし
デーブ亡きあと
生活安全課でもっとも長く
苦楽をともにしたサクラコに
今回は
さらに苦労を強いる捜査を
課さなくてはならず
久保寺も良心が痛んでいた…。

『いや… さすがのサクラコさんも緊張してるかなと思ってさ…』
照れくさげに
久保寺は
缶ビールの差し入れを手渡す。

『あっ… …でも、もう寝る時間だよな…』
自嘲気味に
久保寺は笑った…。

サクラコは
『あの… ビール飲んじゃいましょうよ。で、そのあとちょっとだけ付き合ってください。こんな夜遅く女性宅を訪ねてきた責任ありますよ。』
そう悪戯っぽく
久保寺に答えた

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