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Face or Body

第42章 決着…時の流れのなかで

――――――………………。

山縣なる男に
過去を語られ続けた大作は

『それがどうした? あの高度成長の時代。山縣の組長に就いていったら、俺達ヤクザに先は無かったんだ…。時代のながれだったんだ…。』
大作はそう答えた。

『そうだ…。父親の港竜組は、いつか時代の波に飲まれてなくなっていたろうな…。 だから私は、許しがたい積年の怨念を越えて………。お前を許そうと実は幾度となく思っていた。あの事件が起こるまではな…』
と山縣が答えた。

山縣は
一代で横浜海浜組なる
建設会社を築きながら
上海マフィアと手を結び発展する
港竜会の拡大を横目で眺めつつ
闇世界と呼ばれる
貧困や虐待や度重なる挫折で
行き場を失った若者に居場所を作った。

そこには
山縣が生きてくるなかで辛酸を
舐め続けたことから
表世界から脱落した若者に
再び立ち上がり表世界で自立させたいという
彼が描いた夢があった…。
彼はそんな若者を息子と呼んだ…。
そして
若者たちはいつしか山縣を
オヤジと呼ぶようになった。

そんな若者の一人が
あの海浜市主婦拉致監禁事件を起こした
石渡優【イシワタリ マサル】だったのだ…。

自らを慕う息子たち…
彼らは社会復帰するには
重すぎる過去があり
偏った性癖や暴力性を
持つものもいた…
社会復帰は容易ではない。
だから山縣は奴隷を用意した育成した。

奴隷を政財官の実力者に献上することで
闇世界から表世界に
強い影響力、超法規的な特権を
手に入れたのだ…。

しかし
そんな積み重ねをしてまで
愛していた息子
手のかかるほどに可愛かった息子のひとり
マサルが港竜会のマッハにより
侵され崩壊し
罪なき幼子の母親の精神を破壊した…。

それが
山縣の眠っていた
港竜会への憎悪を呼び覚ましたのだった…。

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