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Face or Body

第49章 罠

キキキ――――――ッ!!

ひったくり男の
マウンテンバイクが急ブレーキをかけて
とある廃工場前で止まり
男は建物の中へと入っていった…。

少し遅れて
ヒカルも廃工場前に乗り捨てられた
ひったくり男の
マウンテンバイクを発見し
自転車を降りた。

ヒカルの目の前には
もう何年も稼働していないであろう
錆び付いた機械が置かれている
工場の入り口があった。

ヒカルはケータイでアキラに

【ひったくり現行犯を追い詰めました。川島町6丁目 もと田中製作所工場跡です。】
と要点をメール送信した。

【休暇中の県警本部 巡査部長のマキマチです。偶然ひったくり犯と遭遇し追尾。川島町…………。至急応援要請します。】
と同時に110番通報もした。

――……
どうする?
私は丸腰だ…。
しかし
どんなに早くてもアキラたちが駆けつけるか
110番通報をもとに
移動パトカーが到着するまでには
10分程度はかかってしまう…。

『あ… ああぁ~ ……私のお金かえして』

男につき倒された
あの老女の悲痛な弱々しい叫びが
ヒカルの耳に響く…。

――――よし!!
ヒカルは意を決した。
さいわいにも
廃工場の入り口には
80㎝ほどのアルミの棒状の端材が
転がっていた。

ヒカルはそれを手に取り
単独で廃工場へと入っていった。

『許さないよ!!あんな年老いた女性に酷いことして!!』
ヒカルは静かに呟いた

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