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Face or Body

第53章 再会 ~ダンナとオヤジ

俺の50年ぶりの訪問を
予測したかのように
山縣は柔らかな笑みをたたえて
俺を見つめていた。


――――
『一平ちゃんが、そろそろ私を訪ねてくるんじゃないか…  ここのところ、その日が近いと思っていたよ。 …というか覚悟していたよ。』
と山縣は口を開いた。

ここは
オヤジこと山縣直が
表の顔
ベイエリアの篤志家
時任一朗としての拠点…
横浜海浜組本社の社長室―――。

『山縣の兄貴…。なんであんな不毛なことを? ……兄貴のことだ…。俺のこともよく知ってるよな? マキマチヒカルは俺の希望であり、唯一の表世界に残せた俺の存在証明みたいな教え子だった…。』
村山は
タバコに火をつけて
山縣を見つめた…。

――――長い沈黙――――。

『一平ちゃん。 苦労したんだよな…。よく生き残ったよ…。 確かに奴隷の海外輸出にからむ数ヵ月前の事件で、俺は港竜会をぶっ潰せたよ…』
山縣は
遠い目で口を開いた…。

『まさか東京方面で絶大な力を持つ京浜会の裏ボスが一平ちゃんだったとはな…。通称はダンナか……。 ……一平ちゃんも表世界と闇世界の両方で絶対なチカラをつけてたんだと知ったときは、私は嬉しくて心強かったよ。』
とまるで
弟を愛しくみつめるような瞳で
山縣は村山に目をやりながら答えた。

『兄貴…。俺はなぜマキマチをあんな目に遭わせたのか? それが兄貴にとりどんなメリットがあったのかを知りたい!! 昔話はそのあとだよ。』
と村山は警察官生活
いや広域暴力団の京浜会の裏ボスとして
培った鋭い瞳で
山縣を見つめながら言葉を返した。

『まあ聞いてくれ…。』
山縣もタバコに火をつけて
ゆっくりと煙を宙に吐き出した。

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