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Face or Body

第8章 確保へ…

ヒカルは
工場の裏口へ
足早に向かい始めたが
一旦立ち止まり
踵を返して
泣きじゃくる女の子の目の高さまで
腰を落として

『お名前いえる?』
と頭を撫でてあげながら
笑顔で尋ねた。

女の子は涙でしゃくりあげながら
『エリカちゃん…』

2歳らしく自分を
ちゃん付けで読んで答えた。

『偉い偉い!! 大丈夫だよ♪ お姉ちゃんこれでもお巡りさんだよ。ママを悪いおじちゃんから助けてくるね。』
ヒカルは女の子の額に
自分の額をくっつけて
優しく囁いた。

ヒカルは
立ち上がりデーブに決意を込めて言った。

『デーブさん…。私待てません!!』
続けて…
『石渡は今、興奮状態です。立て籠ったはいいけど、これから続く周囲を取り囲んだ警察側との冷静な交渉は期待できないし、彼の緊張感が途切れたら…  あの子のママに何するか分かりません。 石渡には性犯罪の前歴もあります。 私、行きます。』

一気に捲し立てた。

『………嬢ちゃん……。』
デーブは長い沈黙をしたあと…

『…………嬢ちゃん…。やっぱり止めよう。 今は石渡の出方を探りながら長期戦に持ち込んだほうが……   いい。とは、言わねえよ。』

『えっ?』と
予測に反するこたえに
ヒカルは声をあげた。

『言ったろ?さっき… 俺は嬢ちゃんの教育係を命じられたけど、そんなつもりないぜ。俺は嬢ちゃんの相棒だよ。』
デーブは
凶悪な石渡の行為に対して
初めて正義の怒りを
瞳にともすかのように
強い視線でヒカルを見つめた。

次の瞬間
ヒカルとデーブは工場の裏へと
足早に駆け出した。

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