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Face or Body

第10章 事件のあと…

アキラの退院手続きを終えた
妹のサチは
アキラの母
巻町春美【マキマチ ハルミ】
アキラの父
巻町崇【マキマチ タカシ】とともに

アキラ
デーブ…
そしてヒカルが醸し出す
ビミョーな人間関係がただよう
病室の空気を
いい意味でぶち壊すように
部屋にはいってきた。


『え――――――!!期待はずれだった…!!』
とサチ…

『えっ?』とヒカル…

どうやら
サチは勝手に妄想を働かせて
アキラの部屋に
意識してノックをせずに入ると
そこには
愛しき恋人同士が
抱き合いキスを交わしている場面を
期待していたのだった…。

『ごめんね…。期待通りの展開ではなくて…』
なぜか
不本意に謝るハメになったヒカルを
アキラとデーブは
笑いをこらえて肩を震わせながら
眺めていた。

『さて!!じゃあな嬢ちゃん!! 俺が戻るまで浮気すんじゃねえよ!! あ…、お父様、お母様、妹ちゃん… 心配無用ですよ。あくまで仕事の話です。ではこのあたりで俺はドロンしま――――す。』

車イスを巧みに操りながら
デーブはアキラの病室から出ていった…。

いまどき…【ドロン】なんて
フツーつかわないよねぇ…

そんな空気に包まれていた。

ヒカルをみつめて
アキラの母ハルミと父タカシが
優しく
『今回はアキラを刺した犯人捕まえてくれてありがとう。 …そして、ケガもう大丈夫?』と
ヒカルの手をハルミが
両手で包み込むようにして握りながら
穏やかで優しい瞳を潤ませながら
ヒカルに言葉をかけた。

父のタカシも
『ヒカルちゃん。アキラをこれからもよろしくね』
と言葉をくれた。

ヒカルは胸が一杯になる一方で…

石渡を確保するために
身体を盾にしたときの
あの屈辱的な行為の数々を思い出して
胸が痛んだ。

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