テキストサイズ

Face or Body

第11章 3年後…ヒカルの場合

『よし!! 後ろのタモっちゃんの緊張がほぐれたところで…。 いっちょう踏み込んでやりますか…。』

デーブの
その掛け声とともに
ヒカル
シンタロウ
タモツの生活安全課メンバーととめに
薬物取締課の捜査員たちも
ぞくぞくと
港竜会本部に入っていった。


『なんじゃあ!!お前…!!』
いかにも
鉄砲玉っぽい男が数名
デーブたちを出迎えたが
捜査令状の前には
それが精一杯の反抗であった。

刑事ドラマにある
激しい立ち回りは
現実には存在しない…。

結果…
マサなる構成員は存在し…
合成麻薬【マッハ】の密売の証拠すら
発見することはできなかった。

ヒカルたちの
事情聴取を受ける
マサなる人物は
『人違いではないですか? 私…、最近は海浜新町方面には行ってないですし、ましてや…ほら…このとおり喧嘩して、大量出血なんてしてないでしょ?』
と身体を軽く
体操するようなしぐさをしながら
答えた。

さらに
『確かにあの土木作業現場には、つまらない作業員同士の喧嘩の仲裁とかで出入りはしてますが…。 決して世の中の迷惑になるようなものも売ったりはしてませんよ。』

立て続けに
丁寧に完璧すぎる答えを用意した。

確かにマッハ密売に
繋がる証拠も出てこない…。

――……じゃあ
自首した男の
『殺したかもしれません』と
言った男は誰なんだ?………――

デーブ以下
生活安全課のメンバーは
肩透かしをくらった徒労感とともに
港竜会の本部を去ろうとした。

その時のことだ…

『あのぉ… 』
マサなる男がデーブたちに尋ねた。
『そこのミニスカートが可愛いお嬢さんも
刑事さんですか?』

デーブは
『悪かったなぁ… こいつは見掛けこんなでもよぉ… 意外にスゲエ刑事なんだぜ!!』
とマサに
返答した。

『そうですか。素敵なかたですね。』
マサはデーブとともに
立ち去るヒカルの
ヒップラインを舐めるように
眺めながら見送った…。

あっ!!この視線…!!
この淫らな気…!!

あの時の…

ヒカルは
海浜市連続婦女暴行事件で収監服役中の
高城翔を思い出した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ