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天使と悪魔

第7章 不穏の予兆

・千賀side

千「確かにいるけどあいつらは大丈夫だって」

山「あいつらって何人いるわけ?」

千「えっと、6人かな」

山「やっぱ行きたくない」



そんなこと言われたってさ

仕方なく泉の方へ向かったら。



山「うわぁーっ、こんな所に洞窟が」



そこはニカが暮らしていた場所、その中へ。

こいつは、どんどん入って行ってしまい。



千「おい、待てってば」



俺は慌てて後を追ったんだが。



山「ねぇ、ここ誰か住んでいたみたいだね」

千「うん、まぁ」

山「でも、もういないようだし暫く俺ここにいることにするよ」

千「えっ」

山「だめ?」

千「そんな事ないけど独りじゃ寂しいだろ」

山「うん、だから一緒にいて」

千「俺が?」

山「お願い、ニコッ」

千「‥‥っ」



うわ、今度は笑顔攻撃か。



千「わ、分かったってば」

山「本当に?」

千「そのかわり兄貴が見つかるまでだぞ」

山「ありがと、ニコッ」



ギュッと、抱きついて来る亮太。



千「こっ、こら」



その時、身体からぷーんとイイ匂いがし瞬間クラッと目眩がして。

なっ、なんだ今の?



山「名前は?」

千「千賀…健永」

山「これから宜しく仲良くしようぜ千賀 ニヤッ」

千「ぁ…あぁ‥」



耳元で囁かれ頭が、痺れるような感覚が襲って来た。

そこからの記憶がない。

いや正確に言うと時々飛ぶようになり。

けどない事にすら気づかないまま。

なぁ宏光、俺は一体なにをしてしまったんだ。

みんなを悲しませるような事をしたんじゃないよな

我に返ったとき、目の前の光景を見て唖然とする。

亮太お前はいったい何者?答えろ。

怪しく笑う、こいつを見て恐怖が身体中を走り抜け。

それは生まれて初めて知った、自分が襲われるという怖さだった。

それでも、俺は恨むことも憎むことも出来ず。

亮太の瞳の奥が、悲しみに満ちているのを見てしまったからかもしれない。

亮太、泣かないで君は独りじゃない俺達がいるから。





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