テキストサイズ

天使と悪魔

第2章 出会いと再会

・河合side

このところ一族の中で不穏な空気を感じる。

理由は察しがつく、あいつがあんなんだからだろ。



横「郁人、太輔のこと頼むな」

河「どこへ行くつもりだ」



俺じゃダメなんだやっぱり



横「今は、何も聞かないでくれ」

河「渉」



俺ひとりじゃさ…

リーダーとしては不適格、そんな声が上がっているのも事実。

しかし―

俺は、太輔が一向に天使を捕まえようとしないのには

何か、理由がある気がしてならなかった

でも、あいつはそれを俺にすら話してくれない。

どうしてだよ?



塚「深く考えたってしょうがないじゃん」

河「はっ?」

塚「何事もなるようになるってね」

河「呑気でいいよな塚ちゃんは」

塚「俺の脳はポジティブに出来てるからさ」

河「あっそ」



塚田僚一

年齢は少し上で渉の親戚筋にあたる。



塚「ところで河合はなんで狩りに行かないわけ」

河「俺は」



記憶の中にある親の顔―

もちろん1人はー族の男でもう1人は。

あの人は、いつも悲しそうな顔をしていた。

普通、俺達一族は天使を村に連れて来たりはしない。

捕まえた奴には腕輪を付けいつでもやれるようにするからだ。

連れて来る時は子供がデキた時だけ。

だが、産むと天使は死んでしまう。

長老の話しによれば奴らは愛がないとダメなんだと。

で、無理やり孕まされ悪魔の子を産まされた悲しみのあまり。

心臓が停止してしまうらしい。

だが俺を産んだ天使は生きていた。

どうしてだかは分からないけどさ。



河「愛ってなに」

天「大切に想う心」

河「僕のことは大切」



小さい頃、そう聞いた俺に

寂しそうな笑みを浮かべ、頭を撫でてくれたっけ。

その顔を忘れることができないでいる。



天「お前が愛を知ってくれ心を大切にし本当に、愛しいと思う人と結ばれ幸せになってくれることを祈っている」



最後に言われた言葉だ。

それから数日後、俺を産んだ天使は眠るように息を引き取った。

手に、俺のへその緒を握り締めながら。

だから俺は天使狩りはしないんだ。

あの人が悲しむ事はしたくなくてよ…

ただそれだけなんだ。

お前はどうなんだよ太輔、教えろって。

青い空を見上げながら独り呟いていた。

その答えを求めるかのように。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ