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天使と悪魔

第15章 策略と駆け引き

・藤ヶ谷side

ガチャ!



玉「ミツ大変だ、郁人が」

宮「つっ、ついたよ!しっかりして」

河「…っ、ハァハァハァ」

藤「どうした!?」

二「ちょ、羽根がボロボロじゃん」

千「宮田そこのソファーに座らせてやれ」

宮「分かった」



たぶん、必死で走って来たんだろう。



河「くっ…ハァハァハァ」



郁人は息も切れ切れで言葉も出ない様子。



五「一体なにがあったっていうんだ」

横「ほら、水だ飲め」

河「うっ…ゴックン」

北「おまえ誰にやられた」



―と、こいつはひろの顔を見るなり。

突然すがるようにその身体へしがみつき。

ギュッ!



河「…とっ‥トッツーを…助けてくれ‥トッツーを」

北「‥‥っ」

藤「どういうことだ」

河「拐われちまったんだ、屋良にさぁ」

五「なんだって!?」

河「あいつはこう言った、ダーク族の村へ北山ひとりで来いと」

藤「バカな、行かせられるわけないだろ」

北「‥‥‥」

藤「ハッ、駄目だ絶対に行くな」

北「けど、俺が行かなきゃトッツーは」

宮「悪魔の餌食に」

玉「そんな」

河「じゃ、どうすりゃいい太輔!クッ」

藤「郁人」



俺達はまるで究極の選択を強いられているような心境の中。

決断を迫られてく。

俺は、ひろを絶対に行かせるわけにはいかないし。

郁人だってトッツーを助けたい。

どちらも、俺らにとっては大切な存在。

片方を犠牲にするなんて、できっこねんだ。

その状況に誰もが口をきかなくなり。

辺り一面沈黙の空気が流れていた。

重い静寂の中で―





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