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天使と悪魔

第21章 運命のとき

・藤ヶ谷side

北「なんで…だよ‥」

藤「んっ?」

北「どうして、んなふうに言うんで?」



ギュッ!

そう言うと振り返りざま俺の胸の中へ顔を埋め。



北「もうお前になにもしてやれないのに」

藤「いるだけでいい」

北「くっ」

藤「そして、何処にいても俺を想ってくれさえすればそれでいいから」

北「けど、んなんじゃ」

藤「分かってる、でも他にどうしたらいい?」

北「‥‥っ」

藤「どう言えばお前の寂しさ辛さを少しでも軽くしてやれるんだ?」

北「おまっ」

藤「俺にはそれが分からないから、こうすることしか出来ないんだよ」

北「‥‥‥」

藤「魔王をやつを封印しに行くんだろ」

北「あぁ」

藤「だったら今ここでめいいっぱい愛してやる」

北「太輔」

藤「だから、その力で自分の役割を果たして来い」

北「‥‥っ」

藤「見届けててやるから」

北「何…を?」

藤「お前の運命、すべてをさ」

北「バカかお前は」

藤「んっ?」

北「そんな事したって自分が辛いだけだなのに」

藤「それは、おまえも同じじゃん」

北「くっ」

藤「こっちを向けって最後の最後まで、俺のことだけを見ててくれ。なっ?俺もそうするから」

北「太輔」



その言葉に、見上げたひろの瞳は涙で溢れていて。

チュッ!



北「んっ」



俺が、そんなこいつの唇に優しくキスを落とすと抱きついてくる。

愛してるいつまでも…

お前の全てを決して忘れたりはしないから

そして俺達は―

ときを惜しむかのように、月明かりの中で激しく愛し合ったんだ。

このまま2人の時間が永遠に止まって欲しいと切なく心を震わせながら。

ただひたすらに互いを求め合い。

それでも近づいて来る運命をその肌で感じ。

止めることが出来ない時の流れに身を任せつつ。

が、そこには確かに。

何事にも動じることのない愛があった。

俺達2人の間には―





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