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天使と悪魔

第4章 絡み合う糸

・北山side

北「原因は多分あのときだと思うぜ、クッ」

藤「えっ」

北「目の前で母親が」



と、それを聞いたとたん。

藤ヶ谷の瞳が見るみる悲しみの色へと変わり。



藤「それってトラウマってやつか?」

北「あぁ、けど頭ではんなわけないって思ってたお前の気持ち分かってないわけじゃなかったから」

藤「北山」

北「それに俺、気づいてたからよ」

藤「何を?」

北「キスするとき気を吸わないようにしていただろ」

藤「‥‥っ」



そう、それがハッキリしたのは今さっきだけどな。

最初のときは、だから力が抜けてしまったんだと思ってた。

が、2回目―

自分からした時と藤ヶ谷にされたときが、なんか違う気がし。



藤「だって俺はそんなことが目的で北山が欲しいわけじゃないから、フッ」



すると、こいつは優しい瞳で俺を見つめ。

ドキッ!



北「ばっ、バカ…んな眼で見んなよ」

藤「あっ、お前いまドキッとしたろ?」

北「してね…クッ」

藤「いや絶対にした、顔が赤くなってるもん」

北「してねったらしてね」

藤「ぷっ、なにムキになってるんだか」

北「別にムキになんか」



って、なってるか。



藤「話しは分かった」

北「藤ヶ谷?」

藤「ごめん」

北「えっ?なに謝ってるんだよ」

藤「当たり前のことなのになんで俺、気づかなかったんだろ」



おまっ…



藤「まだ幼かったお前が、目の前でそんなもんを見ちまったんだ恐いに決まっている」

北「俺は」

藤「恐いんだろ俺に抱かれるのが?だから身体が拒否反応を示す」

北「それ…は」

藤「そりゃそうだ、お前の親を陵辱し死なせたやつは俺と同じ悪魔なんだから」

北「藤っ…」

藤「帰れよ北山」

北「なっ」

藤「じゃなきゃ俺はきっとまたお前の事を襲ってしまう約束なんて守れる自信がない」

北「おまえ、なにを言ってるんだわ?」

藤「分かってるって言ったじゃん、俺の気持ち。なら一緒にいない方がいい」



ズキッ!

藤ヶ谷の言葉が、心に深く突き刺さった。





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