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天使と悪魔

第5章 訪れる慟哭

・北山side

俺は今あたり一面、真っ白なところにいる。

正確に言うと意識がだけど

あのとき―



北「たっ、忠くん!?」

大倉「俺じゃダメか?」

北「えっ」

大倉「俺なら、お前にそんな思いさせたりせぇへん」

北「ちょ、放せ」

大倉「あいつなんかより、ずっとお前のこと」



ドサッ―

思ってもみなかった、その行動にただ驚いちまってよ



北「やっ、やめろ、よせって」



あっという間に服を脱がされ途端にその手が身体中に触れていき。



北「頼む、なぁーっ」



それと同時に肌を通し伝わって来た切ないまでの想い



大倉「宏光、ひろ」



抵抗できなかった…クッ!



北「はっ、んっ、ダメだって、マジ、やめっ」



けど、キスだけは許したくなくて必死に顔を背け。



大倉「そんなにあいつの方がええんか」

北「忠…くん‥クッ」

大倉「あいつには許し俺にはされたくないってわけやな」



お願いだ分かってくれとは言わない。

でも、それだけは勘弁してくれ。

―が、そのモノがまだ誰も触れたことがない場所へと当てがわれたそのとき。

“藤ヶ谷あぁーっ”

心であいつの名を呼ぶのと



北「ああぁーっ」



俺の叫び声が同化して気がついたらここにいたんだ。

だから、自分があの後どうなったのかすら分からない

が、やられちまったんだよな?お前に。

ここにいるのが、何よりの証拠。

ごめん、ぜんぜん気持ちに気づいてやれなくて。

ここは何も聞こえない…

誰の言葉も俺の耳には届かねんだ。

拒絶しちまったからだろう

ならずっとこのままでいるか。

もう俺は藤ヶ谷に会うことも出来ねんだから。

お前と結ばれたかった1つになりたかったわ。

けどもう叶わない、だったら。

ここは無の世界、なにかに傷つくことも苦しむこともない。

辛くて心が痛むこともないんだから。

その空間に身を起きながら俺は静かに眼を閉じる。

まるで刻の流れに逆らうかの如く。





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