
泣かぬ鼠が身を焦がす
第1章 濡れ鼠
やっとここから出してもらえるか、と期待して見つめた俺に社長さんは
「ここにいなさい。家もない子供を放り出すわけにはいかない」
と言った
「はぁぁぁぁあ!?」
「じゃあ、また後で」
「えっ!?ちょっと待ってよ!」
…………
って、本当に行っちゃったよ
嘘だろ?
誰もいなくなった部屋でたった1人ベッドに残された俺
超絶可哀想なんだけど……?
「……………………あーーーーっもう!!!!いいよ!じゃあ俺勝手にここから出てくから!!!!!」
どうせ精々3階建てとかだろ?
そしたら屋根伝って二階に降りれば飛び降りても怪我しないし!
迷惑かけたのは俺だけど、俺を縛る権利なんかねぇだろ!!
手近な窓に近寄って嫌味にデカい窓についたなっがいカーテンを引く
すると
「!?!?!?」
なんだ、これ…………!?!?
目の前に現れたのはたくさんの高層ビル
その中の1つで、しかもどのビルよりも高いところに俺はいた
家じゃねぇのかよ!?
完全にオフィス街だろここ!!
俺でも知ってるビルある!!!
……あ、もしかしてホテル?
あり得るな
前の飼い主もホテル暮らししてたことあったし
