
泣かぬ鼠が身を焦がす
第9章 磯の鮑の
俺の髪を避けた
「怒ってない」
杉田さんはきっぱりと言い切った
「へ……?」
「それに、ノラが悪いと思っているわけでもない」
「な、んで……」
俺が悪いじゃん
絶対、俺が悪い
「仕方ないと思うよ。確かに、俺は最近お前にベタベタと構いすぎてるよな」
そんなことない
くっついてきてたかもしんないけど
鬱陶しいとか思ってたわけじゃない
でも、俺はそれが上手く言葉には出来なかった
本当俺、自分のこういうところ嫌い
そう思って、次に続く杉田さんの言葉を待つ
怒ってるんじゃなくて、呆れたとか?
やっぱりもう出て行け?
怒ってないってなると言われても、俺の頭に浮かぶのはネガティヴな考えばっかり
でもきっと間違ってはないんだろう
とか思っていたら
「でも、止めないからな」
と言われた
「……は?……えぇ!?」
「ノラにどれだけ嫌がられても、構うのをやめたりしない。お前は俺が飼っているんだから、それぐらい我慢してくれ」
我慢?
「何言ってんの……?」
なんで、俺があんなこと言ったのわかっててもそんな風に言うの
「煩い。異論は認めない」
