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泣かぬ鼠が身を焦がす

第9章 磯の鮑の


不思議に思っていると、杉田さんは立ち上がって俺の隣に座った

そして自分の膝を叩く


「…………何?」


まさか


「ここ、座れ」


やっぱり


予想と同じ展開に、絶対嫌だ、と手と首を振る


「嫌だ!1人で食べれるし、意味わかんない!!!」


全力で否定する俺に、どんどん近づいてくる杉田さん


「やーめーろー!!」
「さっき言ったばかりだろう? 俺の物なんだから、大人しくしろ」


俺の物って言葉を自分の都合で使うなっつの!!
あーーもーー

そんな恥ずかしいことしたくない!!!


散々暴れて抵抗する

けど
俺にも少しは甘えたい気持ちがあったのか、それともただ単に捕まったのか結局は捕らえられて膝の上に座らされた


「…………っ」
「そんなに恥ずかしがるな」
「恥ずかしくなんかない!屈辱的なだけ!」


ぎゃんぎゃん吠える俺を意にも介さない杉田さんは、俺から奪った箸でおかずを摘んで持ってくる


「はいはい。ほら、あーん」


あーん、って……!!!!
本当に言う人いるんだ


「……」
「ほら、口開けろ」


優しい声で命令されて、俺に逆らうって選択肢はなかった

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