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泣かぬ鼠が身を焦がす

第10章 3日飼えば恩を忘れず


「すげー豪華……高い?」
「秘密」


高いな


案内された席は完全個室になっている

部屋に入って座ろうとすればお店の人が椅子を引いてくれた

椅子を引いてくれた人は俺の膝の上にナプキンを置くと、お辞儀をして去っていく


「緊張した……」
「だと思ったから、個室にしたんだよ」


エスコートし慣れてるのか
ふーーん


捻くれたことを考えていると、扉が開いて料理が運ばれてきた


「わ、すごい……綺麗……」


見た目にも美しい料理を前にすると、さっきの気持ちなんてどうでもよくなってしまう

俺ってつくづく単純


「ほら、いつまで眺めているんだ。食え」
「うん。いただきます」


ナイフとフォークは端っこから〜


食器を手に取って食べ始めると、杉田さんがこっちをじっと見てる


「え、杉田さんこそ食べないの?」
「食べる、が……」
「なに?」
「食べ慣れてるな、と」


食べ慣れ……?


「食べたことあるしね?」


昔食べさせてもらったことぐらいあるし
基本マナーぐらいはね


俺の答えに杉田さんはふーん、って感じで何でもなかったように食べ始めた


気になったんじゃないのかよ
まぁ、聞かれても答えにくいけどさ

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