
泣かぬ鼠が身を焦がす
第10章 3日飼えば恩を忘れず
そう思いつつもわざわざ口に出して聞くほどじゃないからいっか、と無視して料理を口に運ぶ
「……うまっ!!」
「美味いだろ」
「これやばい!」
口の中で溶けるってどういうことなのかわかる
まじか
なくなった
うわうわ
パクパク食べていると、少量の食事はすぐになくなってしまって
次の料理をまるで待っていたかのように出される
その繰り返し
料理は全部あっという間に食べ終わってしまった
「ーーーあれもこれも全部美味かった。びっくりした」
「そうか、良かった。連れて来た甲斐があったな」
杉田さんもどこか満足気で、俺も嬉しい
お腹いっぱい
幸せ
「食い終わって早々でなんだが、ノラの知り合いのところに行こう。あまり遅くなっても迷惑だろう」
「あー……」
まぁ、別にいいと思うけど
遅くなると混むか
「そうだね。行こ」
そう言って俺と杉田さんは席を立った
会計はいつしたんだか知らないけど
カードでも現金でも払う様子は全くなく、すんなりと店を出る
スマート!!
そして車に乗り込むと、杉田さんに
「で、知り合いはどこに住んでいるんだ?」
と聞かれる
