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泣かぬ鼠が身を焦がす

第10章 3日飼えば恩を忘れず


俺の言葉に、うねうねと身体をくねらせるオカマ


「ヒトミさん……マジキモいから」
「キモいってなによ。って、あら? あらあらあら? イケメンみーーっけ!」


そしてオカマことヒトミさんは、うねうねした結果俺の隣でぼーっとしていた杉田さんに目をつけた


おっ? 杉田さん生き返った


「初めまして。杉田拓真と申します」
「初めまして〜ヒトミですぅ〜」
「おい!くっつくな!」


杉田さんの腕に絡みついたヒトミさんを引き離すと、杉田さんの顔が引きつっているのが見えた


あーー……ははは……
ごめん杉田さん

やっぱ車にいればよかったのに


「あら、立ち話でごめんなさいね〜座って座って」
「ほら杉田さん。座ろ」


漸くカウンターの中に入っていったヒトミさん
俺は杉田さんの手を引っ張った


「ご、ごめん……」


小さい声で謝ると、杉田さんは俺の方をチラッと見て


「…………強い人だな」


とだけ言った


いやぁ……!!
ほんと申し訳ない

完全に気を使わせている


「何飲むぅ?」
「俺は……」
「あんたに聞いてないの。拓真さんに聞いてんの」
「じゃあ、何かお勧めを」
「はぁい」

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