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泣かぬ鼠が身を焦がす

第10章 3日飼えば恩を忘れず


「いてっ」
「馬鹿ね。なに飲む?」
「俺も、酒入ってないやつ」


ヒトミさんが何やらカウンターの中を漁り始めて、ジュースを出してくれた


「杉田さんにはノンアルコールカクテルだったのにぃ」
「文句言うならフルーツなしね」
「ごめんなさいっ」


素直に謝ると目の前に出されるフルーツの盛り合わせ


「ねぇ、久しぶり。ヒトミさん」
「久しぶり、純」


そう言って笑うヒトミさんは、ガチムチだけど、オカマだけど

すごく綺麗に輝いて見える


ヒトミさんとは随分昔からの長い付き合いになる
俺がこういう暮らしを始めた当初からの仲だからね

命の恩人だし
友達だし
良い相談相手


「今日はどうしたのよ? 急に、しかもあんなイケメンまで連れて来ちゃって」
「んー…………相談が……あって……」


俺がコップを見つめながら言うと、タバコに火をつけたヒトミさんが寄りかかりながら片眉を上げた


「ふぅん? イケメンの彼氏に関するノロケだった場合この場でアンタを掘るけど?」


オネェ口調がバリタチとか可愛くねー


「ちっげーよ。………全然、違うわけじゃ………………ない、けど」


でも、相談できるのヒトミさんだけ

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