
泣かぬ鼠が身を焦がす
第10章 3日飼えば恩を忘れず
小さい声でそう呟くと
「んもぅ! 何よ! 可愛いこと言っちゃって!!」
と肩をバシバシ叩かれた
さっきも言ったけど
いってぇから
自分の筋肉とちゃんと相談して? ね?
「それで? 相談って?」
気が済んだらしく、自分の飲み物を用意するヒトミさん
ちゃんと話を聞く体勢になったのを確認してから、一応杉田さんの位置も確認しておく
「!」
俺が振り返ると何やら携帯を弄っていた杉田さんだけど、視線をこっちに向けて軽く飲み物を持ち上げた
な……慣れてやがる……
キザ野郎
うぅ、かっこいい
そんなこと思いながら、ちゃんと離れたところにいたからヒトミさんに向き直る
「実はさ、俺ーーーー」
俺は前の飼い主に捨てられてから今までのことと、杉田さんのこと好きになっちゃったってことを話した
最初は「ふぅん?」と興味のなさそうなヒトミさんだったけど、後半の恋愛話には前のめりになって「それで?それで?」と続きを促すようになった
「ーーって、ことで……今まで俺こんなこと考えたこともなかったから、どうしたらいいかわかんなくて……」
「相手の気持ちが知りたいのよね?」
「…………ん……」
