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泣かぬ鼠が身を焦がす

第11章 昔離れたあわせもの


穏やかな言い方で挑発的なことを言う藤本に、俺もつい声を荒げる


「いい加減にしろよ藤本!!!お前はもう俺とは関係ねーだろ!!!」


俺が怒鳴ると藤本はまたその顔に笑みを滲ませて
俺を見た


うぐ
本当、こういう時のこいつの顔怖い……!


「ノラ? どうして俺のこと藤本なんて呼ぶの? 前はちゃんと幹也って呼べたでしょ?」
「今は関係ないだろ」
「ノラ?」


ゆっくり俺の名前を呼ぶ声が、どんどん怖くなる
表情は変わらないはずなのになんでだろう


確かに俺はこいつに飼われてる時、こいつのことを幹也って下の名前で呼んでた

けど、杉田さんの前で仲良かったみたいな話出すのやめろよ!!ばか!!

さっきも変なこと言いやがって


俺と藤本が睨み合ってると、間に入ってくれたのは杉田さん


「おい、それぐらいにしておけ」


すると、今度はその強い視線の行く先が杉田さんにうつった


「いいからあんたは早く俺のノラからその手離してくれる? 俺のノラが汚れちゃうでしょ」


っんだよ、こいつ本当に!
手伸ばしてくんな!


「こいつは今俺のものだ。手を離す必要もないな」
「なに? それ」

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