
泣かぬ鼠が身を焦がす
第14章 鼠の志奪うべからず
それから、それまで通りの平和な日常が戻ってきた
朝は茜さんのご飯を食べて、伊東さんから拓真さんの予定を聞いて
日中は何か渡されてれば勉強
渡されてなければだらだら
途中でお昼ご飯
拓真さんが戻ってきたら晩御飯
違うのは拓真さんが朝晩は毎日俺と食べるようになったことと、早く部屋に戻ってくるようになったこと
それから
「純」
「………………ん……」
「いってくる」
「……」
「純?」
「……いってらっしゃい……」
キスの回数が異常に増えたこと
しかも、名前を呼ばれた時は俺からキスしてって意味みたいで待ってるような顔しやがる
くっっっっそ!!!!
恥ずかしいっつーの!!!!
とは思いつつも毎回嬉しい顔をされるとそうもいかないわけで、抵抗することは出来ないでいる
そんな風にちょっとだけ変わった俺は、ある日気がついた
俺、いつまで会社のお昼寝部屋にいなきゃいけないんだろ
って
だってさだってさ
普通本当に好きならこんなところに閉じ込めておかないで家に連れてくよね?
拓真さんだって会社よりは家の方が寛げるだろうし
なんて、俺が単に行ってみたいだけなのかもしれないけど
