
泣かぬ鼠が身を焦がす
第14章 鼠の志奪うべからず
俺は早速拓真さんが仕事を終えて戻ってきた時に聞いてみることにした
「ただいま」
扉を開けて夕飯を持ってきた拓真さんに「おかえりー」と近づく
「あの、ーーーわぁ!?」
けど、話しかけようとしたところで持っていたお盆を片手に持ち替えて、余った方の腕で抱き上げられた
なになに!?
なんで!?
暴れたらお盆を落としちゃうかもしれないから、と控えめに話しかけてみる
「ね、ねぇ……なに、これ?」
「……」
なんでシカト……?
怒ってんの?
俺なんかしたっけ
黙ったままの拓真さんはそのまま食卓に行って、机にお盆を置くと椅子に座った
「え、なに……ほんとに……」
そして膝の上に俺を乗せて抱き締める
若干俺の方が高い位置にいるから拓真さんの頭は俺の鎖骨あたりにあって、顔の様子は伺えない
「……どうしたの……?」
「……」
ただいま以降ひとっことも発さねぇ
なんなんだマジで
疲れてんのか?
話しかけ続けるのも馬鹿馬鹿しくなって、でももしすごい疲れてたらなぁとか考えて
とりあえず頭を撫でた
そしたらもっとって言うみたいに擦り寄ってくる
う…………か、可愛い
