
泣かぬ鼠が身を焦がす
第14章 鼠の志奪うべからず
「は……っ、はな、せ……!!」
「嫌だ」
なんでだよ!?
「純?」
「……っ、なに」
最近、拓真さん俺の名前を呼ぶ度に嬉しそうな顔するよな
嬉しいけど、それ以上に恥ずかしくて
むずがゆくて
どうしたらいいかわからなくなるから、やめてほしい
「俺に飯食わせて」
「はぁ!? なんで俺がっ」
「頼む」
「……」
じっと俺を見つめる拓真さん
目をそらすことも出来ず、時間が経てば経つほど断れなくなって
ズルい
くそ
つか、俺の意思弱すぎる……?
「…………く、口開けろ……」
「あ」
俺が渋々発した言葉に、拓真さんは所謂恋人同士の「あーん」みたいに少し大きく口を開けた
俺は身体を捻って後ろから食器と料理を取ると、1口サイズ取って口に運ぶ
うわ……
なんで俺手震えてるんだよ
「……ほら」
「ん、美味い」
「そうかよ」
あーーほんと、顔熱い
絶対顔が赤いから、それを隠すために俯く
すると拓真さんは
「次、ほら早く食わせて」
なんて強請ってきた
「えっ……いつまで俺が食わせんの!?」
「最後まで」
「はぁ!? 子供じゃねーんだし、腕ケガしてるわけでもないんだろ。自分で食えよ」
