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泣かぬ鼠が身を焦がす

第14章 鼠の志奪うべからず


顔色を伺うみたいに聞いてみると、拓真さんが勢いよく起き上がった


「ぅわ、なに……!?」


そして俺を睨むように一瞥し


「だめだ」


ときっぱり言いきった


え、だめ……?


予想外の答えに呆然とする俺
少し勇気を振り絞っただけに、ショックも大きい

拓真さんはと言うと俺の申し出を断った後すぐに立ち上がり、すたすたと歩いてベッドに行ってしまった

まるで、もう話を聞く気はないって言ってるみたい


え、なんで
なんで
なんかしたっけ、俺

つか、めっちゃ怒ってた……よな?


目線をベッドに向けると、最近はいつも抱き締めて寝てくれていた拓真さんが背中を向けて寝ている

その姿を見て漸く俺は脳でちゃんと起きたことを理解したらしく、ズキンと胸が痛んだ


「い、た…………」


小さな声で呟いた俺の声は、しんと静まり返った部屋に響くこともなく消える


痛い

やば、泣きそ

拓真さんにこんな強く拒絶されたの初めて
つかあんな睨まれたのも初めて、だ?


血でも出てるのかって勘違いしてしまうほど胸が痛んで、つい服を掴んで確認までしてしまう

こんなに痛いのに、心配もしてくれない拓真さんに更に俺は傷ついた

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