
泣かぬ鼠が身を焦がす
第14章 鼠の志奪うべからず
話を聞きたかったけど、寝てる拓真さんを起こすわけにもいかないし
隣に寝るのもなんか気が引けてしまって
電気を消した俺は、1人ソファで横になって眠った
「……ん……」
きっと高いソファだと思うけどベッドと比べるとやっぱり寝心地が悪くて、身体の痛みに目が覚めた
少し身動ぎすると、俺の身体の上にかかっていた毛布が下に落ちる
「あ、れ……」
拓真さんがかけてくれたのかな
もう怒ってないってこと?
寝ぼけて動きの鈍い身体を無理に動かしてベッドの方を伺う
けど
いない
ベッドの上には誰もおらず、浴室の方にも気配はない
何も言わずに行っちゃったんだ
やっぱり怒ってるのかも
人がいた形跡を残すベッドを恨めしげに見てから、立ち上がって近づく
朝から顔見れないなんて最近はほとんどなかったから、更に寂しい
ベッドに倒れ込むように寝て、顔を埋める
拓真さんの匂い、する
変態みたいだけどどうでもいい
俺を寂しくさせるのが悪い
絶対そう
そうしてるうちに涙が滲んできて、流れてしまう前にシーツに染み込ませた
茜さんが朝ごはん持ってきてくれるまでは、こうしてよ
