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泣かぬ鼠が身を焦がす

第14章 鼠の志奪うべからず


なにそれ
どういうこと


「……」
「……」


もしかして


「……勘違い?」


つか、1人暮らしって
考えたこともないんだけど


見つめ合って

同時に吹き出した


「ぷっ、あははは」
「く、はは」


馬鹿だな

俺も拓真さんも言葉足らずで
なのにお互いわかったようなフリしてたなんて


笑い合っていると、拓真さんが突然俺を抱き寄せた


「わっ……!?」


そして耳元に口を寄せられちゅ、とキスをされる


「良かった」


そう呟く拓真さんに「俺が1人暮らしなんて変だと思わなかったのかよ」って皮肉を言ってやった

そしたら


「不自由させてると思っていたんだ。だから、自由な暮らしがしたいのかと思った」


なんて言われて、顔が熱くなる

それを隠すように拓真さんの肩口に顔を埋めた


「馬鹿じゃん。不満があったらちゃんと言うし、俺」
「ならどうして俺の家に住みたいなんて言ったんだ?」


え、わかってないのかよ


「……察しろよ」


俺の言葉に考えるような仕草をする拓真さんだけど、暫くして


「わからないな。ほとんど帰っていない家に何の用があったんだ?」


なんて言った

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