
泣かぬ鼠が身を焦がす
第17章 千里も一里になるはずで
「今日もヒトミさんのところに行くのか?」
あれから数日いよいよ拓真さんの誕生日が明後日に迫った日の朝、拓真さんが朝食を食べながら聞いてきた
慣れないながらも一生懸命ヒトミさんの店を掃除して、取り寄せてもらった材料は今日届く予定
そんな時に、拓真さんからそんなことを聞かれて
「あ、うん……だめ?」
少し挙動不審になってしまったかもしれない
俺の返事に、拓真さんは少し眉間に皺を寄せている
「相手方に迷惑がかからないようならいいが、ここ最近毎日だろう」
「……うん……」
怒っているような、不機嫌なような口調で言われ、俺はしゅんと項垂れた
でも、だって
拓真さんの誕生日プレゼントのためだし
そうは思っても、何となく秘密にしたくて言い出せない
「そんなに毎日、何をすることがあるんだ?」
「別に…………普通に、喋ってるだけ……」
「話しているだけで朝から暗くなるまで毎日か? 随分だな」
「……っ!」
なんだよ、その言い方
すげーむかつく
確かに秘密にしてるのは俺だけどさぁ
でも、そんな言い方しなくてもいいのに
俺も拓真さんに吊られてイライラしてしまって、態度が悪くなってしまう
