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泣かぬ鼠が身を焦がす

第17章 千里も一里になるはずで


なるほど
中に入れる花だけじゃなくて、匂いも付けれるのか!

すげー


「で、ほらこれ」


そして、ヒトミさんは自分の財布から1万円を抜き取るとその辺にあった封筒に入れて渡してくれる


「材料費。お釣りは返しなさいよ」
「俺現金持ったの久しぶり! ありがと!」


素直に喜ぶ俺をヒトミさんが少しだけ笑って


「ほら、早く行きなさい」


と言いながら待ち合わせする人の見た目と場所を教えてくれた


「行ってきまーす」



人でごった返した駅に着いて、この中から会ったこともない人なんて見つかるかなと思っていたんだけど


「あ、あれだ」


案外あっさりと見つかった

ヒトミさんの言ってた通り、身長の高いイケメン
服装も流行りに乗ってる感じでオシャレ


「こんにちは。ノラです……?」


伺うように声を掛けてみると、こっちを見たその人はにこ、と微笑んだ


「こんにちは」


おお、感じのいい人だ


と思った直後


「やだ〜可愛い子でびっくりしちゃった!」
「!?」


突然オネエ口調で話されてびっくりした


「あら? ごめんなさい、ヒトミさんに聞いてなかったの?」
「いや、えと……だいじょぶ、です……」


まぁ、あの店に来る客だから仕方ないか

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