
泣かぬ鼠が身を焦がす
第17章 千里も一里になるはずで
とにかく気を取り直して
「じゃあ、行きましょうか」
「えぇ」
うぅん、見た目と中身のギャップが激しい人だな
バリネコだと言うイケメンがヒトミさんと肉体関係を持ったことがあるという話を途中から聞き流して、駅ビル内のある店に到着した
「ここなら、アロマもお花もフルーツも揃うわよ」
「フルーツ?」
「ドライフルーツね。入れると色鮮やかで綺麗よ」
「へぇ……」
なんか、迷う要素が増えたぞ
と思いながらも店内も物色して、色々見て回る
「んー……これ、も……いいかも。いやでもあっちのも綺麗だったなぁ」
「さっきのと迷ってるなら、両方入れてもいいんじゃない?」
「そうかな?」
一緒に来てもらってよかった、と思うほどイケメンは良い相談相手になってくれた
中に入れる物を選ぶのにすごい時間がかかってしまって、漸く決まったと思ったらアロマもか……とげっそりしていたんだけど
「あ、これ」
「それでいいの?」
「うん。これにする」
アロマはあっさりと決まって、会計して店を出た
「ヒトミさんたら、封筒にお金入れて渡すなんて色気ないわね。鞄に入れてあげる」
「ありがと。あ、待ってレシート封筒に入れる」
「でもまぁ、そんなとこも素敵よねっ?」
「んー……? んんー……そう、かな」
