
泣かぬ鼠が身を焦がす
第17章 千里も一里になるはずで
わーそっか
そのままじゃ渡せないもんね
流石心は乙女(?)なだけあるな!
俺はヒトミさんからお金を受け取って、ポケットにいれる
「うん、ありがと! じゃ、また明日」
「はいはい。気をつけてね」
ヒトミさんとイケメンに見送られて、俺は店を後にした
会社に戻ると拓真さんや伊藤さんたちは社長室にはいなくて、1人部屋に入る
お金、どこに置こうかな
明日忘れちゃうと困るし
かといって俺鞄とか持ってないんだよね
うんうん悩んだ結果、いつも俺の服が入っている引き出しに入れた
これなら明日着替える時に絶対忘れないよな
おっけ
目でちゃんとお金を入れたことを確認して引き出しを閉めたその時、部屋の扉が開く
「帰ってたのか」
「うん。ただいま」
「これから風呂か?」
「え……」
あぁ、引き出しのところにいるからか
「うん、入る」
「そうか」
「……」
「? なんだ?」
機嫌、直ったのかな
別に変なところはないよな
怒ってないなら良かった
「なんでもない」
俺がお風呂に入る準備をして洗面所に入ろうとすると、拓真さんが声をかけてきた
「純」
「なに?」
「今日の晩飯は1人で食べてくれ。俺は出掛ける」
「そう。わかった」
