
泣かぬ鼠が身を焦がす
第17章 千里も一里になるはずで
朝ご飯を1人で食べていると、伊藤さんが入ってきて拓真さんの1日の予定を聞かせてくれた
「ーーー以上が本日のご予定です」
「ねぇ伊藤さん」
「はい、なんでしょう?」
「昨日って拓真さんどこに泊まったの?」
俺の質問に、伊藤さんが驚いたような顔をする
「こちらにいらっしゃらなかったんですか?」
「いや、朝起きたらいなかったから別のところにいたのかと思ったんだけど、知らない?」
「申し訳ございませんが、昨日は定時で仕事を終えて帰宅致しましたのでその後のご予定は把握していません」
そっ、か
じゃあ俺が気づかなかっただけでここにいたのかな
「わかった。ありがとう」
「……では、失礼いたします」
ご飯を食べて、残りの支度をして運転手さんに連絡する
すぐに下に来てくれると言うから俺もすぐに部屋を出た
社長室には昨日の夜同様誰もいない
「……」
なんか半日以上拓真さんと顔会わせないのがここ最近続いてて、ちょっとだけもやもやする
もしかして昨日の夜も俺が気づかなかっただけで怒ってたのかなぁ?
込み上がってきた不安を、プレゼント渡せば大丈夫と暗示をかけて抑え込む
