
泣かぬ鼠が身を焦がす
第17章 千里も一里になるはずで
「ねー、荷物ぐらい持つって」
「いいのよ。これでヒトミさんに会いに行く口実が出来るんだから」
「あーー……」
なるほど、そういう狙いがあったのか
もしや俺のこと待ってたんじゃなかろうか
変な疑いの目を向けつつも、昨日も今日もすごくお世話になったから何も言わずに2人で歩いた
「おはよーヒトミさん」
「ヒトミさぁぁん! おはようございますぅ!」
「おは……ノラ! なんて奴連れてきてんのよ!」
露骨に嫌な顔をするヒトミさんに駅で会ったんだよぉ、とぼんやり説明しながらソファに座る
「早くやろ。俺今日は早く帰りたい」
「アンタね……」
俺の自己中っぷりに怒った顔をしたヒトミさんだったけど、早めに取り掛からなきゃいけないのはわかってるから抑えて向かいに座った
お店で買ってきたのは直接キャンドルを入れるビニールの袋とさらにそれを入れる小さな紙袋
それから、葉書サイズのバースデーカード
ビニールは下が透明で上に行くほど青く着色されているもので、青い部分は星の瞬く夜空の模様になっている
下の部分からキャンドルも見えるし、空の模様が綺麗で一目惚れしてしまった
紙袋は普通の茶色いやつだけど、お洒落に金色で文字が印刷されてる
英語だから俺に意味はわかんない
