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泣かぬ鼠が身を焦がす

第1章 濡れ鼠


酷い風邪?


確かに身体はぽかぽかしてるし、頭もぼーっとしてる
けどそれって死んだからなんじゃないの?

俺、もしかしてまだ生きてる?


嬉しいような、悲しいような
複雑


「……」


あ、やばい
人がいるの忘れてた

変な顔してたかな


助けてもらったんだから、お礼くらい言わなきゃ

あぁでも声でないんだった
どうしよう


「もうじき社長がいらっしゃいます。声がでそうなら、お礼はその時仰ってください」


声、全然出そうじゃない……
って

社長?
社長が俺を助けたの?

というかじゃあこの人は誰?何?


俺の混乱を他所に、言った通り部屋のドアが開かれた


「目が覚めたのか」
「社長、お疲れ様です」
「あぁ」


入ってきたもう1人の社長って呼ばれた男の人は、最初にいた男の人に負けず劣らずの美形だった

最初の人が綺麗系
社長さんは、硬派?ワイルド?なんかその間って感じ


なに、この
イケメン集団は

俺ほんとに居づらいんだけど


「……」
「具合はどうだ?」
「……」
「?」
「社長、風邪で声がでないようです」


俺の様子を察して助け舟を出してくれた人を一瞬振り返った社長さんは、今度は気を使ってイェスかノーで答えられる質問にしてくれた

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