
泣かぬ鼠が身を焦がす
第18章 遠くなれば薄くなる?
次の日の朝、昨日と同じように起きた俺はホテルをチェックアウトして会社に向かった
純と、ちゃんと話そう
少しの緊張と共に会社に入ると、何故か何時もよりも早い時間にも関わらず大量の人がいる
「?」
何かあったのか
携帯に連絡は……来ていないな
首を傾げながら会社に入ると、社員たちは俺に寄って来て
「社長! 誕生日おめでとうございます!」
と言って手に持っていた袋を渡してきた
「!」
誕生日、か
すっかり忘れていたな
さっき確認した携帯に表示されていた日付を思い出す
「社長?」
「あぁ、すまない。ありがとう」
俺が礼を言って袋を受け取ると渡した人間は嬉しそうに去っていき、次の人間が俺の元へとやってくる
それが繰り返され、エレベーターに乗るまでには俺の手は荷物でいっぱいになっていた
社長室の階に漸く辿り着くと、秘書たちにもプレゼントを渡される
「社長、おめでとうございます」
「ありがとう」
すごいな
朝だけで疲れてしまう
「社長、こちらも社員からです」
「あぁ」
指差されたそこには直接渡されたものと他に段ボールに入れられた大量のプレゼント
その光景に嬉しさを感じて、純に会う緊張も少し解れた
