
泣かぬ鼠が身を焦がす
第18章 遠くなれば薄くなる?
謝罪の意味すら今の俺は勘繰ってしまう
その素直さは、罪悪感からなのか……?
いや、だめだ
ちゃんと話を
落ち着け、と自分に言い聞かせる俺に純が
「……あの、それ……」
とプレゼントを指差して聞いてきた
「あぁ、誕生日プレゼントらしい」
俺の言葉に「そっ、か……」と動揺したように返す純
それを見て、俺の中にある黒い何かが
「まぁお前は俺の誕生日なんて知らなかったと思うが」
と言わせた
何故こんなに思い通りに口が動かない
明らかに傷つける目的の言い方だ
俺の誕生日なんて言ったこともなく、自分だって今日知ったんだから知らなくて当然
それをわかってる
はずなのに
くそ
黙り込んだ純に、これ以上余計なことを言う前に1度頭を冷やしたほうがいい
そう考えて仕事に行くと言い残しスーツを着替え始める
すると純が
「誕生日プレゼント……拓真さんに」
と紙袋を俺に差し出してきた
「……」
明らかに開封前の商品
何故純がこんなものを持っているのか
誕生日を知っている訳がないのだから
自分が買ってきた?
頭に浮かぶのは、純が駅で荷物を持った男と共に歩く姿
