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泣かぬ鼠が身を焦がす

第18章 遠くなれば薄くなる?


あの男に買わせたものなんじゃないか

それとも、この前引き出しの中にあった金で買って俺以外のだれかにあげるためのものだったんじゃないか

しかもその金は、身体を売って稼いだ金?


どちらにしても、俺のためのものじゃない

なんて惨めなんだ、俺は
こんなものを


俺はそれを受け取って、先ほど自分で置いたプレゼントの山の中に投げ入れた

すると純が後ろから突然


「なんでそんな風に扱うんだよ!!!」


と叫んだ


「せっかく拓真さんのために……!!!」


純の目には涙が滲んでいる


意味がわかない
何故、純が泣くんだ


「ぅ……く……」


俺は動揺して何も出来ず、ただ佇んでいるだけ


すると急に動いた純が勢いよく走り出し、そのまま部屋を出て行ってしまった

1人残された俺は、まだ何が起こったのかを理解できずにいる


何故、泣いていたんだ


純の言葉が頭を過る


せっかく拓真さんのために?
俺のために、何をしたんだ


俺は純に渡されたプレゼントを拾い上げ、中を覗いた


夜空が書かれたビニール袋に、同じ柄のショップカードが入っている

俺のためにと言われる要素は見つからない

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