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泣かぬ鼠が身を焦がす

第18章 遠くなれば薄くなる?


しかし、見たことのない店のものだな
こんな店駅に入っていたか?


ふと疑問に思いショップカードを持ち上げてみると、半分に折られた中身には店の詳細や商品の特徴ではなく


「!!!!」


純からのメッセージが書いてあった


『拓真さんへ

誕生日を知ったのが1週間前で、お金もなかったから手作りでキャンドルを作りました

この前、お風呂の中で使ったでしょ
あれすごい気持ち良かったから

拓真さんはきっと色んな人にもっと良い物貰うと思うけど、拓真さんを思う気持ちだけは誰より込めて作ったから、下手さには目を瞑って欲しい

大好きだよ

俺と出会う前の分と、今日の分
全部込めたハッピーバースデー

これからの分は楽しみに取っておくね』


肺に何かを入れられたみたいに息ができなくなって、身体も重くなる


『なんでそんな風に扱うんだよ』
『せっかく拓真さんのために』


純の言葉が頭の中でぐるぐる回って、俺はその場に膝から崩れ落ちた

心臓が異常なまでに早鐘を打っている


貰い物の横流し?
誰かにプレゼントするためのもの?

馬鹿か俺は

何もかも違うじゃないか

なのに俺は聞きもしないで……あぁ、くそこんなことをしている場合か

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