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泣かぬ鼠が身を焦がす

第19章 七転び八起き


やっぱり結末は変わらないんだなって

俺は俺なんだなって


そんな風に思えて、苦しいながらも多分今顔は笑ってる


あー……はは
やばい

そろそろほんとにやばい


「ひゅ、ぐ……っ、ひ……っ」



だって、拓真さんの幻想が見えるもん
慌てて俺に駆け寄って


あぁ、なんで
そんなに心配そうな顔するの

最後ぐらい笑ってよ


そう思ったすぐ後に、拓真さんは俺にキスをした

全力で走った直後みたいに胸を上下させる俺の呼吸に合わせるように息をしてくれる

口を離すことなく暫くそのままでいると、聴覚が徐々に戻ってきた


「……ん、純……」


キスの合間に俺の名前を呼ぶ拓真さん


あー

幸せ


そう思ったのを最後に俺は意識を手放した



目を覚ますと、俺はふらふらしながら入った公園の中のベンチにいた

寝る前と何も変わっていない状況に、心臓に綿を詰められたみたいな気持ちになる


悪い夢だった
ってことなのかな


汗だくになってる身体は、べたべたして気持ち悪い


でも拓真さんいた
それだけで、俺……


「……っん、ぅ……ぇ……」


死んでも良かったのに


すっかり涙脆くなってしまったらしい俺は、また涙を流し始める

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